「有事」に真価を発揮|ペイオフ対策の一つの選択肢|現物による積立が安全
2002年前半の統計では、金の輸入量が前年同期の約3倍と急増しました。これは、ペイオフ対策として資金が預金から金へと移動したためと考えられています。
商品投資の代表格である金は、株や債券とは異なった特徴を持つことから、資産分散の合理的な手段のーつとして検討できます。
しくみ
「有事の時の金」といわれるように、金は世界中で普遍的な価値を持っています。株や債券は一瞬で紙くず同然となる可能性がありますが、金はそれ自体に価値がある資産です。昨今のようにパレスチナ情勢の緊迫や米のイラク攻撃などの観測があると、「有事の金」は威力を発揮します。最近は有事だけではなく、大企業の破綻や不正会計疑惑などを原因に米の株や債券市場を嫌悪した資金が、金を有力な投資先として選択する動きもあります。
また、宝飾品としても金の人気は世界的に根強く、需要を下支えしています。
▽金価格の決まり方 金価格は、4大金市場であるロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、香港の値がべースになっています。なかでも金現物の指標となる価格を決定するのが、1666年開設された世界で最も伝統あるロンドン市場です。ここで毎日午前と午後の2回、5大貴金属商がロスチャイルド社の「黄金の間」に集まり、価格を決めています。
金は、国際的には1トロイオンス(31・1035グラム)あたりの米ドル建てで取引されています。日本国内の店頭価格は、海外市場の価格をもとに1グラムあたUの円僅てに換算されています.なお、トロイオンスは通常「オンス」と略して呼称されますが、一般度量衡で使用される「オンス(28・3495グラム)」とは異なるので注意が必要です。
▽金の埋蔵量金の年間生産量は約2600トン。人類が有史以来採掘精製した金の総量は世界の主要産地であるエジプト、小アジア、東欧、南米、南アフリカのすべてを合計しても約14万3000トンと推測されています。幅20メートル、深さ2メートルの50メートル・プールで3杯半程度です。
地球上に残る金は、あと約6万トンと推定されていますが、採掘はますます困難になっていくと考えられています。
メリット 金は純度の高い地金で取り扱われます。「延べ棒」とも呼ばれますが、正式にはゴールド・バーといわれ、世界のほとんどの国で自由に売買できる換金性があります。
地金に保証書はありませんが、地金に印された刻印が本物であることを証明します。刻印には、重量、品位、精錬業者名、金塊番号などが表示されています。特にロンドン市場で公認されている精錬業者の刻印はG・D(グッド・デリバリー)と呼ぱれ、世界の市場で通用します。
また、金は100グラムとか1キログラムのバーで保有されていることが通常なので、不動産等に比べて分割相続も容易です。
デメリット 金の延べ棒を出しても物やサービスを購入することは出来ません。日常の経済活動において力を発揮するのは現金です。また、金は供給側次第によって価格がコントロールされる「管理された」マーケットですので、純粋な意味での需給関係が働かない可能性があります。海外の政治的な問題――例えば英国銀行の金売却情報などによって、価格変動の幅が大きく振れるという問題点もあります。さらに、海外金価格が上昇しても円高であれば相殺される場合があるので為替の影響も気をつける必要があります。
税金 地金や金貨の売却益は譲渡所得として扱われ、総合課税方式で申告納税となります。ただし、50万円の特別控除があるので、年間50万円の譲渡益(売却益)は実質的に非課税となります。金投資口座(金貯蓄口座)の場合には、所得税15%(地方税5%)の源泉分離課税となります。また金定額購入システムによる売却の場合は、継続的な取引を行っているものと判断され、売却による所得は雑所得、事業所得に該当します。
利用法 金には先物と現物がありますが、確実なのは現物による積み立てです。先物は基本的に機関投資家のヘッジ手段として利用されています。予想できない三カ月後の値段よりもスポットで現物積み立ての方が一般投資家には安全です。高値で買うことを避けるため、時期をずらして少しずつ購入することが有効です。ただ、少量の購入では手数料が高い場合があるので店頭で確認が必要です。なお、松井証券は2002年6月から一定の保証金を差し入れれば何倍もの金額の金取引をできる仕組みを取り入れています。資金に十分な余裕がある場合には、分散投資の選択肢となりうるでしょう。
近況 金価格は米国を取りまく不安な政治経済情勢を反映して310ドルを下値に堅調な地合いを保っています。同年6月には米ドル安と米株の大幅下落を原因にニューヨーク金市場で99年以来の330ドルを超える高値を記録する場面もありました。国内金価格は、2002年初めは1300円を超えましたが、その後、海外金価格が上昇しても円高で相殺される形となり1200円台で推移しています(2002年9月現在)。
米経済回復への不安とドル安、米でのテロ再発懸念、インド・パキスタン情勢、イラクやパレスチナを巡る中東の緊迫などが引き続いており、しばらくの間金市場はこれらの影響を受けつつ推移すると予想されています。
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